令和3年度能力開発基本調査まとめ
OFF-JT及び自己啓発支援に支出した費用について
・OFF-JTまたは自己啓発支援に支出した企業は 50.5%
・OFF-JTと自己啓発支援の両方に支出した企業は19.7%
・OFF-JTにのみ費用を支出した企業は25.9%
・自己啓発支援にのみ支出した企業は 4.9%
・どちらにも支出していない企業は49.0%
<まとめ>
OFF-JTや自己啓発支援にお金を出した企業は50%以上あるが、両方出した企業は20%以下、OFF-JTは25%超、自己啓発は5%弱と少なめ。自己啓発にお金を出そうという企業はまだまだ少数派。
能力開発の実績・見込みの正社員支出について
・正社員に対する過去3年間のOFF-JTに支出した費用の実績は、「増加した」と答えた企業は15.2%、「減少した」と答えた企業は15.8%と同水準。全体として増えてもいないし、減ってもいない感じ。
・「実績なし」は46.0%。
・今後3年間の支出見込みでは、「増加させる予定」と答えた企業は35.7%、「減少させる予定」と答えた企業は1.1%。今後増えていくという明るいニュースに思われるが、「実施しない予定」は35.3%もいる。
・正社員に対する過去3年間の自己啓発支援に支出した費用の実績は、「増加した」と答えた企業が8.4%、「減少した」と答えた企業が7.9%と同水準。こちらも全体として増えてもいないし、減ってもいない感じ。
・「実績なし」も68.1%。
・今後3年間の支出見込みについては、「実施しない予定」が53.9%。社員の自己啓発に企業はお金を出したくない傾向あり。
<まとめ>
企業は正社員のOFF-JTにはお金を出していく気はあるが、自己啓発支援に対して消極的。
能力開発の実績・見込みの正社員以外の支出について
・正社員以外に対する過去3年間のOFF-JTに支出した費用の実績では、「増加した」と答えた企業は5.1%、「減少した」と答えた企業は6.4%。
・「実績なし」は67.3%。
・今後3年間の支出見込みでは、「増加させる予定」と答えた企業が17.6%、「減少させる予定」と答えた企業は0.6%。
・「今後実施しない予定」は56.9%。
・正社員以外に対する過去3年間の自己啓発支援に支出した費用の実績では、「増加した」と答えた企業は2.6%、「減少した」と答えた企業は3.3%。
・「実績なし」は77.8%。
・今後3年間の支出見込みについても、「実施しない予定」と答えた企業が66.1%で最多となった。
事業内職業能力開発計画及び職業能力開発推進者について
・「すべての事業所において選任している」とする企業は10.8%
・「一部の事業所においては選任している」とする企業は7.0%
教育訓練休暇制度及び教育訓練短時間勤務制度の導入状況について
・「導入している」とする企業は9.7%
・「導入をしていないが、導入を予定している」とする企業は10.3%
・「導入していないし、導入する予定はない」とする企業は79.5%
計画的なOJTの実施状況
・新入社員が51.5%
・中堅社員が36.4%
・管理職層が22.3%
・正社員以外は25.2%
正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所は59.1%と、前回と比べて2.2ポイント増加しているが、3年移動平均の推移では低下傾向。
正社員以外に対して計画的なOJTを実施した事業所は25.2%と、前回に比べて2.9ポイント増加しているが、3年移動平均の推移では低下傾向。また、長期的には正社員に対する割合と比較して2分の1に満たない水準で推移。
キャリアコンサルティングを行なうしくみの導入状況
・正社員または正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行なう仕組みを導入している事業所は42.3%
・両方に対して導入している事業所は26.1%
・正社員のみに対して導入している事業所は15.4%
・正社員以外に対してのみ導入している事業所は0.8%
・キャリアコンサルティングを行なう仕組みを導入していない事業所は57.2%
・「複合サービス事業」(81.7%)、「金融業、保険業」(80.7%)
キャリアコンサルティングの実施時期
・「1年に1回、3年に1回など、定期的に実施する」(正社員51.0%、正社員以外46.7%)
・「人事評価のタイミングに合わせて実施する」が正社員(50.0%)、正社員以外(42.0%)
・「労働者から求めがあった時に実施する」が正社員(49.6%)、正社員以外56.7%)
・キャリアコンサルタントが行なっているのは、8.8%
キャリアコンサルティングを行なっていない理由
・「労働者からの希望がない」(正社員49.8%、正社員以外49.8%)
・「キャリアコンサルタント等相談を受けることのできる人材を内部で育成することが難しい」(正社員 41.6%、正社員以外32.6%)
キャリアコンサルティングを行なう目的
・「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため」(正社員71.7%、正社員以外68.7%)
・「労働者の自己啓発を促すため」(正社員65.9%、正社員以外58.7%)
キャリアコンサルティングを行なう問題点
<正社員>
「キャリアに関する相談を行っても、効果が見えにくい」(39.6%)
「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」(39.5%)
<正社員以外>
「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」(39.2%)
「労働者がキャリアに関する相談をする時間を確保することが難しい」(38.5%)
ジョブ・カードの認知
・「内容を含めて知っており活用している」は 2.2%
・「内容を含めて知っているが活用していない」は23.1%
・「名称(言葉)は聞いたことがあるが内容は知らない」は42.3%
・「名称(言葉)を聞いたことがなく、内容も知らない」は32.1%
職業能力評価の実施状況
・正社員を雇用する事業所のうち、正社員に対して職業能力評価を行なっている事業所は50.2%
・平成22年度調査以降、平成25年度までは60%台で推移し、平成26年度以降50%台となったが、3年移動平均を併せて見ると、平成27年度以降では大きな変動はなかったが、直近では減少に転じている
職業能力評価の活用方法
・「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」( 82.1%)
・「人材配置の適正化」(61.5%)
・「労働者に必要な能力開発の目標」(39.0%)
職業能力評価に係る取組に問題
・「全部門・職種で公平な評価項目の設定が難しい」 (70.1%)
・「評価者が評価基準を把握していないなど、評価内容にばらつきが見られる」(48.3%)
キャリアコンサルティングを受けての感想
・「仕事に対する意識が高まった」(正社員49.0%、正社員以外47.2%)
・「自己啓発を行うきっかけになった」(正社員28.4%、正社員以外13.5%)
・「再就職につながった」(正社員2.3%、正社員以外13.0%)