やわらかキャリコン

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カウンセリングの定義(ハーとクレイマー)

ハーとクレイマーのカウンセリングの定義

カウンセリングとは、心理学的な専門的援助過程である。心理的な専門的援助過程とは、心でどう理解するかを専門家によって援助を受けていくプロセスのことと考えると分かりやすい。

 

その大部分は言語を用いて行なわれる。なぜなら、心に作用を起こすには言葉が不可欠だから。カウンセリングは、専門家であるカウンセラーと、何らかの問題を可決したいクライアントが、ダイナミックに相互作用することが望ましい。カウンセラーは援助行動を通して、クライアントが自己理解を深め、積極的・建設的な意思決定ができることを手伝う。

 

目標は、クライアントがなり得る人間に成長すること。なり得る人間とは、その人が持つ長所を活かせるようになり、自発的に独立した人間として、自分が納得できる人生を歩むこと。

 

<ポイント>

カウンセラーは、心理学的専門教育を受けた者。

ダイナミックな相互作用とは、カウンセラーとクライアントの心が交流し合いながら新しい気づきを与えるコミュニケーション。そのプロセスの中で、クライアントは試行錯誤を重ねて、自己変革することを目指す。

なり得る人間への成長とは、人間には「自分を変えたい」「自分が理想と思える人間になるために努力できる」という心を持っているという信頼。

 

<覚えかた>

ハーとクレイマーは港区の援助したいおじさん。しかも、心理的な専門的援助をダイナミックな相互作用でしたいというクズになり得る人間。

 

キャリアカウンセリングの三大源流③ ビアーズによる精神衛生運動

精神衛生運動とは

ビアーズが、自身がうつ病を患って入退院をくり返していた時に見た精神疾患者の扱いを克明に記した闘病記『わが魂にあうまで』を書き、全国精神衛生協会を作ったことで生まれた運動のこと。

 

どんな世界背景だったか

当時、精神疾患のある人たちは異常者扱いをされ、監禁するなどの非人道的な扱いが当たり前だった。しかし、ピアーズは自身がうつ病経験者であったこともあり、うつ病の人が内的世界でどのような体験をしているかを知った。

 

だからこそ、精神疾患を持つ方たちの内的世界を理解することによって、一見すると異常と思える言動も理解可能なものであることが分かった。つまり、異常者ではなく、少し歯車がズレてしまった人たちなのだ。

 

そこでピアーズは、精神病院のクライアントたちの待遇改善運動を始める。監禁などの悪環境では心の改善は望めないからだ。そして、心の不健康の予防、精神的健康維持のための運動も開始する。ピアーズは、精神疾患を持つ人たちの内的世界を援助する形で、心の持ちようを改善できる心理療法を確立する。

 

その後、ロジャ―スが『来談者中心療法』を書く。これまでのカウンセリングは、カウンセラーがクライアントに「こうしなさい」「ああしなさい」と指示する傾向が強かったのではないかと批判。クライアントの成長の力を信じて、その力と決断力を中心に進める来談者中心の方法が良いと主張した。これが、現在のキャリアカウンセリングの基本姿勢となっている。

 

<覚え方>

うつ病になったらビール(ピアーズ)が欠かせない。ロジャーズに買いに行こう。

キャリアカウンセリングの三大源流② ソーンダイクらによる教育測定運動

教育測定運動とは

ソーンダイクが述べた「すべて存在するものは量的に存在する。量的に存在するものは、測定することができる」という言葉から来ている。

 

どんな世界背景だったか

それまで、個人の知能や興味は測定の出来ないものとされていた。しかし、ソーンダイクが上記のことをスローガンとして叫んだことで、「測定できるかも!測定してみようぜ!」というムーブメントが起き始める。

 

フランスの文部省の嘱託であるビネーは、医師のシモンの協力のもと、世界初の「知能検査」を開発する。これをターマンが、シュテルンが提唱した「知能指数(IQ)」の概念を組み込んで改定した。知能検査は学校教育分野へ広がっていき、職業指導運動と合体しつつ、その後、特性因子理論へ発展していく。また、第一次世界大戦の適材適所への配属に、知能検査や心理測定が用いられるようになっていった。

 

<覚え方>

測定をしないとソーンするダイク。戦争に使われても悪ビネーで、シモンから知能検査。タワーマンション(ターマン)に住んでIQを測定シュテルンです。

キャリアカウンセリングの三大源流① フランク・パーソンズによる「職業指導運動」

どんな世界背景だったのか

当時のアメリカは、産業革命によって社会環境が激変。急激な経済成長と都市部への人口増加が進んでいた。少し前の中国に状況が似ているかもしれない。工場を稼働させれば稼働させるだけ儲かる時代だったため、経営者は労働者の働く環境を蔑ろにしていた。辞めれば新しい人を採ればいい時代だったのだ。

 

しかし、劣悪な労働環境では人は定着しない。すぐ辞める人間が増えていった。仕事を求めて都市部に集まった大勢の人たちが辞めて、都市部に大勢の失業者があふれる。これは、犯罪が増えることにもつながるため、社会不安が増す状況だった。

 

パーソンズは、青少年が非人間的な単純労働にばかり従事していたり、職を転々としている状況を見て、「このままではいけない!」と考えた。なぜなら、仕事とはある程度長く勤めなければ経験は積めないし、収入は上がっていかないからだ。「とりあえず何か仕事に就かないと!」という気持ちで軽い仕事を選んでいることが、非人間的な単純労働にばかり従事していたり、職を転々としている状況を作っているのではないかと考えたのだ。調査の結果、それは確信につながる。

 

自分に合った仕事と出会うことができれば、そうそう辞めることはないし、長続きして経験を積み、収入も上がっていく好循環になるはず。そのためには、場当たり的な仕事選びをさせないために、適職に就くための指導が必要だと考える。それが、パーソンズの「職業指導運動」の始まりだった。

 

パーソンズは、人と職業の適合を支援するための研究を進め、その研究成果をまとめた本が『職業の選択(Choosing a Vocation)』だった。

 

『職業の選択』に書かれている原則

1. 職業はむやみに探すのではなく、きちんと選択するべき。

2. 職業を選択するときは、指導を受けながら、自己分析することも大切だ。

3. さまざまな仕事について調べるのが良い。都合がいい、たまたま見つけた、という理由で仕事を選ぶべきではない。

4. 職業選択をする際には、人間や職業について、その職業で上手くやっていくためには何が必要なのかなど、詳しい専門家からアドバイスを受けると、リスクヘッジになるし、学びにもなる。

5. 自己分析は紙に書いて行なうのが良い。そのほうが考えを整理できるから。パーソンズ教授の研究の最大の知見でもある。

 

ここに書かれている「詳しい専門家」が「職業指導カウンセラー」であり、キャリアコンサルタントの前身でもある。

 

パーソンズの3つの仮説

①人間一人ひとりの特性には差異があり、個人に適した職業――適職が存在する。同時に、仕事にも遂行するために要件の違いがあり、適した人が求められている。

②個人の職業満足は、その人と仕事のマッチ具合に関わってくる。

③人間は、自分に合った仕事を求める傾向がある。

 

パーソンズが考える職業選択の3要素

①適性・能力・興味・希望・資質・限界など、自分への徹底的な理解。

②その仕事に求められる資質・成功の条件・有利な点と不利な点、報酬、就職の機会、将来性といった知識。

③①と②の合理的な関連付け。自分はこういうタイプの人間でこういう能力が優れているが、この仕事に求められる条件とマッチしているという確信。

 

パーソンズが考える職業相談の技法

①クライアントのことを知る

②自己分析の支援

③意思決定の支援

④カウンセラーによる分析

⑤その仕事の展望の調査

帰納法的推理とアドバイス(集めた情報をまとめてアドバイス

⑦その仕事への適応への助言

 

パーソンズの基本的な考え

「丸い釘は丸い穴へ」

 

パーソンズのキャッチコピー

「職業指導の父」

 

パーソンズの理論

「特性因子理論」

個人の特性が、仕事に合う合わないと因子になるという理論

 

パーソンズ理論の評価

単純明快で常識的で実践的だった。キャリア・カウンセリングの基礎を築いたのは間違いない。しかし、個人と職業の関係を厳密に考えすぎている傾向がある。適材適所が大正解と考えているが、人間は適職でなくてもやりたい仕事という側面もある。そういった個人の感情までフォローできていない。

 

パーソンズの理論は何に活かされたか

GATB(一般職業適性検査)

日本版O-NET(job tag)

 

 

特性因子論(パーソンズ)と、六角形モデル(ホランド)

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