グラッサ―の現実療法
現実療法とは
精神科医のグラッサ―が自身の経験をもとに作り上げたカウンセリング手法。この療法の特徴は、他のカウンセリングが過去や感情や症状を重視するのに対し、現在の満たされていない重要な人間関係に焦点を当てて解決を試みているところ。グラッサ―は、非行少年少女の更生のために使用した。満たされていない人間関係に焦点を当てるため、精神障碍者、犯罪者、教育や職場のマネジメントにも応用できる。
現実療法の特徴
①クライエントの内面を知り、本当にやりたいことを見つける。そしてそれが現実的に可能かどうか考えるのを手伝う。
②自分の行動が他人からどう見られるかを意識させる。
③クライエントがやりたいことを肯定する計画を立て、それによって人生計画が見えるようにして、現実的な願望と欲求が満たされる状態を作る。
④満たされていないものが満たされるようになれば人は強くなる。周囲とより良い人間関係を作れるようになる。
現実療法の人間観
人間の行動は、内面にある動機によって動かされる。それは、愛・所属・生存・権力・楽しみ・自由といったもの。これらを満たそうとする。
現実療法の病理観
人間は、愛・所属・生存・権力・楽しみ・自由が満たされないと、精神的に不具合を起こす。
現実療法の目標
クライエントが、現実性、責任性、善悪の区別を身につけて、責任ある行動・生き方ができるようにする。
現実療法におけるカウンセラーの役割
現実性、責任性、善悪について重視し、クライエントが現実をシビアに認識するように導く。
現実療法の援助過程
過去ではなく現実に焦点を当てる。言い訳を許さない。ただし、この関係性を成立させるために、カウンセラーはクライエントに対して誠実でなければならない。
現実療法の2つの要素
・変化をもたらすためにいろいろな方法を試す
・「すべきこと」「してはいけないこと」を定める